○愛瑠の家の前(夕方)
愛瑠とハルが家の前に帰ってくると、ちょうどその時真理子も帰ってくる。
真理子「おかえり愛瑠」
愛瑠はビクッとする。
愛瑠「お母さん……! 今日は撮影で遅くなるんじゃ……」
真理子「それがね、すごいお利口なワンちゃんで、スイスイ進んじゃったの。あら?」
真理子は不思議そうにハルの方を見る。
愛瑠(マズイ、ハルのこと見られた!)
愛瑠はハルを背中に隠しながら誤魔化す。
愛瑠「ん? どうしたのママ」
しかし愛瑠の身長ではハルのこと隠せるはずもない。
思いっきりハルが見えている。
真理子「ねぇ、あなたもしかして……」
と、ハルの顔をまじまじと見る。
愛瑠(どうしよう。ハルだってバレた!?)
愛瑠とハルは顔を見合わせてゴクリと唾を飲み込む。
真理子「(満面の笑顔で)もしかして……愛瑠の彼氏?」
愛瑠「ちょっと、何言ってんのママ!」
真理子「違った? なんだ〜てっきりそうだと思ったのに。うふふ」
愛瑠「そんなわけないじゃん」
しかしハルが次の瞬間爆弾発言をする。
ハル「今はまだ俺の片想いなんですけど、彼氏になる予定です」
愛瑠「え゛?」
愛瑠がハルを睨むように見るが、ハルは平然としている。
真理子「キャー青春! 羨ましい。お名前は?」
ハル「ハルです」
真理子「ハルくんね。ごはんまだでしょ? 良かったらうちで食べて行って〜」
ハル「はい!」
愛瑠(はぁ〜〜!?)
○愛瑠の家・リビング(夜)
愛瑠、ハル、真理子の3人でテーブルを囲み夜ご飯。
愛瑠【というわけで、私たちは今3人でご飯を食べています】
話が盛り上がっているハルと真理子を見ながら、愛瑠は黙々と食べ続ける。
愛瑠(人懐っこくて、誰からも愛されるこの性格は、犬の時と変わらないんだなぁ)
真理子「ハルくん出身は? この近く?」
愛瑠(そういえば、私と出会う前のハルのこと何も知らないな……ハルはどこから来て、どうしてあの公園にいたんだろう……)
愛瑠「私も知らないかも」
ハル「あー……実は俺小さい頃の記憶が曖昧で……随分昔に家も出たし、親ももういないから」
愛瑠【一瞬だったけど、この時初めてハルの顔が曇った気がした。嘘をついているわけじゃない。でもきっと隠したいことがある、そんな感じだった】
真理子「今住むところはあるの? 大丈夫なの?」
ハル「えーっと……」
真理子「そうだ! うちに住めばいいじゃない。うちね、パパが単身赴任中だから、家に男の子がいてくれると安心なの。ハルくんが一緒だと愛瑠も嬉しいだろうし。ね?」
愛瑠(『ね?』じゃなーーい!)
愛瑠「ちょっとママ落ち着いて。飲みすぎだよ。そんなこと言われてハルも困っちゃう」
ハル「いいんですか!?」
愛瑠(あれ?)
真理子「いいに決まってるでしょ? 私たちはもう家族なんだから」
愛瑠(いや、確かに私たち既にというか随分前から家族なんだけど……そういう問題じゃない!)
ハル「やった! ありがとう真理子ママ」
女子高生のように盛り上がる2人を見て頭を抱える愛瑠。
真理子「そうだ。うちワンちゃんいるけど大丈夫? あれいないわね。ハルー?」
真理子がハルを探して名前を呼ぶと、ハル(人間)がつい反応してしまう。
ハル「ワンッ!」
真理子「ん? 今『ワンッ』って聞こえたような……」
愛瑠「(慌てて)気のせい気のせい!」
真理子「えぇ〜?」
愛瑠「私、ハルにハル紹介してくるね! 多分私の部屋にいるから!」
愛瑠はハルを引っ張って自分の部屋に避難する。
○愛瑠の家・愛瑠の部屋(夜)
愛瑠「どうしよう…… 人間のハルと犬のハルは一緒には存在できないし……さっきは誤魔化せたけどさすがのママもそのうちおかしいって気づいちゃう……」
一方ハルは何も心配していない。
ハル「これで犬の時も、人間の時もずっと愛瑠のそばにいられる」
ハルが愛瑠を抱き上げてクルクル回る。
ハル「やったー!」
愛瑠「あ、コラ。ちょっとやめてったらー」
やめてと言いながら、愛瑠も笑ってしまう。
愛瑠(でも、ハルが一緒ならなんとかなるんじゃないかって思えちゃうんだよね)
クルクル回りすぎてよろけた2人はベッドに倒れ込む。
ハルが愛瑠の上から覆い被さるような体勢。
愛瑠の髪の毛を愛おしそうに触る。
ハル「愛瑠」
愛瑠「ん?」
ハル「キスしていい?」
愛瑠(私とキスしないとハルは人間のまま。犬のハルがいないとママが心配するし、これも慣れていかなきゃダメだよね)
愛瑠は固く目をつぶってキスを待つ。
しかしキスは口ではなく額にされる。
愛瑠「え……?」
ハル「もしかして、こっちが良かった?」
と、愛瑠の唇を触る。
愛瑠「べ、べつに!?」
ハル「ごめんね。しばらく人間に慣れたいから、今はちょっとおあずけ」
愛瑠「私は別にしたいわけじゃないからね!? ハルが犬に戻りたいかなって思っただけで」
ハル「分かった分かった」
と、ニコニコする。
愛瑠(絶対分かってないじゃん!)
愛瑠【まさかハルがママにあんなことを頼んでたなんて、この時はまだ知らなかった……】
○愛瑠の家・愛瑠の部屋(ある朝)
愛瑠「じゃあ私は学校行ってくるね」
ハル「うん、行ってらっしゃい」
と、手を振る。
愛瑠(今日はやけにあっさりしてる……)
と、不思議に思う。
○高校・教室(朝)
ホームルーム中。
担任「今日は転校生を紹介するぞー」
生徒たちはざわつき始める。
陽菜「愛瑠知ってた?」
愛瑠「全然知らない! 珍しいね」
担任「入ってきていいぞー!」
ドアを開けて転校生が入ってきた瞬間、愛瑠は驚きのあまり口をポカーンと開けて固まる。
陽菜「ちょっと、あれって……!」
麗「この間学校に迎えに来てた……」
エリ「愛瑠の彼氏!」
教室に入って来たのは制服を着たハルだった。
愛瑠(どうなってんのー!?)
♡〜つづく〜♡
愛瑠とハルが家の前に帰ってくると、ちょうどその時真理子も帰ってくる。
真理子「おかえり愛瑠」
愛瑠はビクッとする。
愛瑠「お母さん……! 今日は撮影で遅くなるんじゃ……」
真理子「それがね、すごいお利口なワンちゃんで、スイスイ進んじゃったの。あら?」
真理子は不思議そうにハルの方を見る。
愛瑠(マズイ、ハルのこと見られた!)
愛瑠はハルを背中に隠しながら誤魔化す。
愛瑠「ん? どうしたのママ」
しかし愛瑠の身長ではハルのこと隠せるはずもない。
思いっきりハルが見えている。
真理子「ねぇ、あなたもしかして……」
と、ハルの顔をまじまじと見る。
愛瑠(どうしよう。ハルだってバレた!?)
愛瑠とハルは顔を見合わせてゴクリと唾を飲み込む。
真理子「(満面の笑顔で)もしかして……愛瑠の彼氏?」
愛瑠「ちょっと、何言ってんのママ!」
真理子「違った? なんだ〜てっきりそうだと思ったのに。うふふ」
愛瑠「そんなわけないじゃん」
しかしハルが次の瞬間爆弾発言をする。
ハル「今はまだ俺の片想いなんですけど、彼氏になる予定です」
愛瑠「え゛?」
愛瑠がハルを睨むように見るが、ハルは平然としている。
真理子「キャー青春! 羨ましい。お名前は?」
ハル「ハルです」
真理子「ハルくんね。ごはんまだでしょ? 良かったらうちで食べて行って〜」
ハル「はい!」
愛瑠(はぁ〜〜!?)
○愛瑠の家・リビング(夜)
愛瑠、ハル、真理子の3人でテーブルを囲み夜ご飯。
愛瑠【というわけで、私たちは今3人でご飯を食べています】
話が盛り上がっているハルと真理子を見ながら、愛瑠は黙々と食べ続ける。
愛瑠(人懐っこくて、誰からも愛されるこの性格は、犬の時と変わらないんだなぁ)
真理子「ハルくん出身は? この近く?」
愛瑠(そういえば、私と出会う前のハルのこと何も知らないな……ハルはどこから来て、どうしてあの公園にいたんだろう……)
愛瑠「私も知らないかも」
ハル「あー……実は俺小さい頃の記憶が曖昧で……随分昔に家も出たし、親ももういないから」
愛瑠【一瞬だったけど、この時初めてハルの顔が曇った気がした。嘘をついているわけじゃない。でもきっと隠したいことがある、そんな感じだった】
真理子「今住むところはあるの? 大丈夫なの?」
ハル「えーっと……」
真理子「そうだ! うちに住めばいいじゃない。うちね、パパが単身赴任中だから、家に男の子がいてくれると安心なの。ハルくんが一緒だと愛瑠も嬉しいだろうし。ね?」
愛瑠(『ね?』じゃなーーい!)
愛瑠「ちょっとママ落ち着いて。飲みすぎだよ。そんなこと言われてハルも困っちゃう」
ハル「いいんですか!?」
愛瑠(あれ?)
真理子「いいに決まってるでしょ? 私たちはもう家族なんだから」
愛瑠(いや、確かに私たち既にというか随分前から家族なんだけど……そういう問題じゃない!)
ハル「やった! ありがとう真理子ママ」
女子高生のように盛り上がる2人を見て頭を抱える愛瑠。
真理子「そうだ。うちワンちゃんいるけど大丈夫? あれいないわね。ハルー?」
真理子がハルを探して名前を呼ぶと、ハル(人間)がつい反応してしまう。
ハル「ワンッ!」
真理子「ん? 今『ワンッ』って聞こえたような……」
愛瑠「(慌てて)気のせい気のせい!」
真理子「えぇ〜?」
愛瑠「私、ハルにハル紹介してくるね! 多分私の部屋にいるから!」
愛瑠はハルを引っ張って自分の部屋に避難する。
○愛瑠の家・愛瑠の部屋(夜)
愛瑠「どうしよう…… 人間のハルと犬のハルは一緒には存在できないし……さっきは誤魔化せたけどさすがのママもそのうちおかしいって気づいちゃう……」
一方ハルは何も心配していない。
ハル「これで犬の時も、人間の時もずっと愛瑠のそばにいられる」
ハルが愛瑠を抱き上げてクルクル回る。
ハル「やったー!」
愛瑠「あ、コラ。ちょっとやめてったらー」
やめてと言いながら、愛瑠も笑ってしまう。
愛瑠(でも、ハルが一緒ならなんとかなるんじゃないかって思えちゃうんだよね)
クルクル回りすぎてよろけた2人はベッドに倒れ込む。
ハルが愛瑠の上から覆い被さるような体勢。
愛瑠の髪の毛を愛おしそうに触る。
ハル「愛瑠」
愛瑠「ん?」
ハル「キスしていい?」
愛瑠(私とキスしないとハルは人間のまま。犬のハルがいないとママが心配するし、これも慣れていかなきゃダメだよね)
愛瑠は固く目をつぶってキスを待つ。
しかしキスは口ではなく額にされる。
愛瑠「え……?」
ハル「もしかして、こっちが良かった?」
と、愛瑠の唇を触る。
愛瑠「べ、べつに!?」
ハル「ごめんね。しばらく人間に慣れたいから、今はちょっとおあずけ」
愛瑠「私は別にしたいわけじゃないからね!? ハルが犬に戻りたいかなって思っただけで」
ハル「分かった分かった」
と、ニコニコする。
愛瑠(絶対分かってないじゃん!)
愛瑠【まさかハルがママにあんなことを頼んでたなんて、この時はまだ知らなかった……】
○愛瑠の家・愛瑠の部屋(ある朝)
愛瑠「じゃあ私は学校行ってくるね」
ハル「うん、行ってらっしゃい」
と、手を振る。
愛瑠(今日はやけにあっさりしてる……)
と、不思議に思う。
○高校・教室(朝)
ホームルーム中。
担任「今日は転校生を紹介するぞー」
生徒たちはざわつき始める。
陽菜「愛瑠知ってた?」
愛瑠「全然知らない! 珍しいね」
担任「入ってきていいぞー!」
ドアを開けて転校生が入ってきた瞬間、愛瑠は驚きのあまり口をポカーンと開けて固まる。
陽菜「ちょっと、あれって……!」
麗「この間学校に迎えに来てた……」
エリ「愛瑠の彼氏!」
教室に入って来たのは制服を着たハルだった。
愛瑠(どうなってんのー!?)
♡〜つづく〜♡


