シンデレラとお姫様

『シンデレラは大好きな王子様と結婚。2人は末永く幸せに暮らしました。』


むかし憧れたのはシンデレラ。ではなくて、周りのお姫様たち。

自分の気持ちに素直で羨ましかった。

夏休みが終わってから一ヶ月が過ぎてちょっとだけ涼しい廊下を歩く。

高校生になった私"雨羽 美兎(うわ みう)"の悪役好きは変わらない。

シンデレラも自分の気持ちに素直だったらなぁ~。

とか言いつつ、私もあんまり素直じゃないんだけど。

「美兎ー!今日、食堂いこー!」

食堂かぁ。あんまり好きじゃないんだよね。

「うん。璃恋いこう」

"普音 璃恋(あまね りこ)"は私の中学からの友達。

「美兎、おはよう。」

「おはよぉ~、綾斗。」

約束した。ずっと一緒にいるって。

彼は"依澄 綾斗(いずみ あやと)"。

私の大切な人。でも恋愛感情とは違う。

兄弟みたいな感じ。〔恋愛とか分かんないけど。〕

そんな綾斗は最近好きな人がいるらしい。

興味はないけど、怖い。

だってまた1人になる。

りっちゃんだっていつ離れちゃうかわかんない。

そうなったら、綾斗は一緒にいてくれるでしょ?

「純弥先輩、おはようございますっ…」
「おはよう、依澄くん」

"純弥 空和(すみや うわ)"。一つ上の先輩で綾斗の好きな人。

綾斗のお兄さんの同級生。そのせいで、綾斗は空和センパイの割合が大きくなってる。

ほんとやだ。一緒にいるって言ってくれたのに。

〔1人にしないって約束、忘れてるのっ…?〕
「どうかした~?」

…え。
顔に出てたのかな。

「なんでもないよ。それよりも行こっ?」

空和センパイも綾斗もきらい。

そんな綾斗に依存してる私は…。
だいきらい。
空和センパイが消えてくれたら。

そんな風に思う私が、1番みにくい。

みにくくてどろっとしてる。

このままでいい。どうせ"裏切られる"なら。


嘘のままで。