2025年2月になっても、まだまだ、寒い日が続くが、40代後半のキヨテルは、今日、LINEで、30代前半の女性、読書サークルの仲間のミツキに声をかけてみた。
「今日さ、電車で、京都まで行って、すぐに帰ってこない?オレ、交通費、往復と食費をおごるから」
なんて言って、声を掛けた。
ミツキは、大阪梅田駅までやって来た。
そして、阪急京都本線で、大阪梅田駅から京都河原町まで向かった。
有料指定席に二人は、乗った。
勿論、キヨテルの奢りだった。
値段は、二人で1000円。
停車駅は、十三、淡路、茨木市、高槻市、長岡天神、桂、烏丸、京都河原町だった。
今日は、雪が降っていた。
しかし、退屈しのぎに、大阪梅田駅から阪急京都本線で、特急京都河原町行きに乗った。
いや、キヨテルは、本当は、電車が好きなのだが、こうしていつも、何かを言えるのは、ミツキしかいなかった。
キヨテルは、一緒に、ミツキとドストエフスキー『罪と罰』を読んだり、紫式部『源氏物語』を読んでいる。そして、お互い、読書サークルは、殆ど、60代や70代の年配しかいないのだが、若い彼らは、よく小説の情報を、二人で共有していた。
ブラウン色の阪急京都本線に乗った。
「私さ、阪急って、好きだよ」
「どうして?」
「何となく高級感があってさ」
そう言われてみたら、何となく、落ち着いた感じがしていた。
大阪梅田駅の左端からは、三宮・新開地方面へ行く神戸線、宝塚・箕面方面へ行く宝塚線、そして、北千里・京都河原町へ行く京都線がプラットフォームの車両の純で並んでいる。
時折、外国語が耳に聞こえてくる。
そして、最近、増えた撮り鉄。
更には、バリアフリー化を目指しているプラットフォームのホームドアがあった。
キヨテルは、ミツキと並んで、特急京都河原町行きに乗った。
乗ったからと言って、だが、大阪梅田駅を出て、中津駅を超えて、淀川を超えた。
クルマが、南北を行き来している光景が見えた。
「キヨテル」
「何?」
「お腹が空いたでしょう」
「おう」
「これ、私の買ったチョコレート」
と言った。
クロスシートに座っている。
大阪梅田辺りの高層ビルを、尻目に、これから、淀川を超えて、十三へ向かっている。居酒屋やパチンコ店、そして、水商売のクラブが、いっぱいある十三へ向かった。
「今日はさ、京都へ行くんだ」
「だよね」
「何か、ダジャレみたいだ」
「そうね、何か早口言葉みたいやね」
「そうやね」
なんて言った。
口の中で、チョコレートを食べていたら、じわっと甘みが利いてきた。だが、今日は、十三へ寄るつもりはなかった。
「今日はさ」
「うん」
「内田百閒の『阿房列車』をするんだ」
「何?それ?アホウレッシャって?」
「電車で、目的地に着いたら、すぐに帰るんだ」
「ダメじゃない、そんな何もしないで帰るなんて」
「今日は、そのつもりだから」
「昔、キヨテルは、新幹線で、東京まで行って品川のクラブで遊んですぐに帰ってきたんでしょう」
「そうだよ」
「そんな帰り方、良くないなぁ」
と、ミツキは、思った。
ミツキは、前も、大阪難波駅で会って、そのまま、阪神電車で、神戸三宮まで行って、神戸牛のステーキを食べて、キヨテルと帰ってきた。そして、キヨテルは、電車のイラストをLINEで、送っただけだった。
または、その前は、大阪難波駅から、近鉄電車で、奈良駅まで行って、公園で、鹿の動画を撮ってすぐに帰ってきたり、または、伊勢神宮まで行ったが、伊勢神宮の写真を撮って、すぐに特急で帰ってきた。
そして、電車以外のイラストを描く以外に何にも趣味はなかった。
ただ、十三駅に差し掛かった時、車窓から倶楽部やらラブホテルがあるのを見て、実際に、どうだろうか、と思った。
特急京都河原町行きは、十三を出発した。
そして、南方駅を通過して、東海道新幹線が見えてきた。
その時、ミツキは、思わず、キヨテルの手をギュッと握った。
すると、キヨテルは、ドキドキしていた。
「どうしたの?ミツキ?」
「女の子に興味が持てない?」
困ったのは、キヨテルだった。
最も、キヨテルは、内心、ドキドキしていたが、自分の欲望に従って「したい」なんて言えなかった。
一方で、キヨテルは、ミツキとこれから、京都まで行こうとしている。
したいのだろうか?そうかもしれないが、そう思いながら、電車は、十三駅を出発し、南方駅に向かった。
高層ビルが、多い。
すぐ傍には、東海道新幹線が、走っている。新大阪駅から東京に向かって青色の新幹線が、走っている。
そうだ、キヨテルは、元々、大阪の人間ではなかった。
元々、東京の人間だった。
会社の人間関係に疲れ、そして、自分を変えたい一心で、大阪に住むことになった。そして、今は、食品メーカーで仕事をしながら、もう6年が経った。そして、読書サークルで、ミツキと知り合った。
電車は、気がついたら、淡路駅に着いていた。
対向車線には、大阪メトロ堺筋線の車両が、停まっていた。
「今日さ、電車で、京都まで行って、すぐに帰ってこない?オレ、交通費、往復と食費をおごるから」
なんて言って、声を掛けた。
ミツキは、大阪梅田駅までやって来た。
そして、阪急京都本線で、大阪梅田駅から京都河原町まで向かった。
有料指定席に二人は、乗った。
勿論、キヨテルの奢りだった。
値段は、二人で1000円。
停車駅は、十三、淡路、茨木市、高槻市、長岡天神、桂、烏丸、京都河原町だった。
今日は、雪が降っていた。
しかし、退屈しのぎに、大阪梅田駅から阪急京都本線で、特急京都河原町行きに乗った。
いや、キヨテルは、本当は、電車が好きなのだが、こうしていつも、何かを言えるのは、ミツキしかいなかった。
キヨテルは、一緒に、ミツキとドストエフスキー『罪と罰』を読んだり、紫式部『源氏物語』を読んでいる。そして、お互い、読書サークルは、殆ど、60代や70代の年配しかいないのだが、若い彼らは、よく小説の情報を、二人で共有していた。
ブラウン色の阪急京都本線に乗った。
「私さ、阪急って、好きだよ」
「どうして?」
「何となく高級感があってさ」
そう言われてみたら、何となく、落ち着いた感じがしていた。
大阪梅田駅の左端からは、三宮・新開地方面へ行く神戸線、宝塚・箕面方面へ行く宝塚線、そして、北千里・京都河原町へ行く京都線がプラットフォームの車両の純で並んでいる。
時折、外国語が耳に聞こえてくる。
そして、最近、増えた撮り鉄。
更には、バリアフリー化を目指しているプラットフォームのホームドアがあった。
キヨテルは、ミツキと並んで、特急京都河原町行きに乗った。
乗ったからと言って、だが、大阪梅田駅を出て、中津駅を超えて、淀川を超えた。
クルマが、南北を行き来している光景が見えた。
「キヨテル」
「何?」
「お腹が空いたでしょう」
「おう」
「これ、私の買ったチョコレート」
と言った。
クロスシートに座っている。
大阪梅田辺りの高層ビルを、尻目に、これから、淀川を超えて、十三へ向かっている。居酒屋やパチンコ店、そして、水商売のクラブが、いっぱいある十三へ向かった。
「今日はさ、京都へ行くんだ」
「だよね」
「何か、ダジャレみたいだ」
「そうね、何か早口言葉みたいやね」
「そうやね」
なんて言った。
口の中で、チョコレートを食べていたら、じわっと甘みが利いてきた。だが、今日は、十三へ寄るつもりはなかった。
「今日はさ」
「うん」
「内田百閒の『阿房列車』をするんだ」
「何?それ?アホウレッシャって?」
「電車で、目的地に着いたら、すぐに帰るんだ」
「ダメじゃない、そんな何もしないで帰るなんて」
「今日は、そのつもりだから」
「昔、キヨテルは、新幹線で、東京まで行って品川のクラブで遊んですぐに帰ってきたんでしょう」
「そうだよ」
「そんな帰り方、良くないなぁ」
と、ミツキは、思った。
ミツキは、前も、大阪難波駅で会って、そのまま、阪神電車で、神戸三宮まで行って、神戸牛のステーキを食べて、キヨテルと帰ってきた。そして、キヨテルは、電車のイラストをLINEで、送っただけだった。
または、その前は、大阪難波駅から、近鉄電車で、奈良駅まで行って、公園で、鹿の動画を撮ってすぐに帰ってきたり、または、伊勢神宮まで行ったが、伊勢神宮の写真を撮って、すぐに特急で帰ってきた。
そして、電車以外のイラストを描く以外に何にも趣味はなかった。
ただ、十三駅に差し掛かった時、車窓から倶楽部やらラブホテルがあるのを見て、実際に、どうだろうか、と思った。
特急京都河原町行きは、十三を出発した。
そして、南方駅を通過して、東海道新幹線が見えてきた。
その時、ミツキは、思わず、キヨテルの手をギュッと握った。
すると、キヨテルは、ドキドキしていた。
「どうしたの?ミツキ?」
「女の子に興味が持てない?」
困ったのは、キヨテルだった。
最も、キヨテルは、内心、ドキドキしていたが、自分の欲望に従って「したい」なんて言えなかった。
一方で、キヨテルは、ミツキとこれから、京都まで行こうとしている。
したいのだろうか?そうかもしれないが、そう思いながら、電車は、十三駅を出発し、南方駅に向かった。
高層ビルが、多い。
すぐ傍には、東海道新幹線が、走っている。新大阪駅から東京に向かって青色の新幹線が、走っている。
そうだ、キヨテルは、元々、大阪の人間ではなかった。
元々、東京の人間だった。
会社の人間関係に疲れ、そして、自分を変えたい一心で、大阪に住むことになった。そして、今は、食品メーカーで仕事をしながら、もう6年が経った。そして、読書サークルで、ミツキと知り合った。
電車は、気がついたら、淡路駅に着いていた。
対向車線には、大阪メトロ堺筋線の車両が、停まっていた。

