①登場人物
ヒーロー: 瀬戸 恭司(せと きょうじ)、32歳。元傭兵でボディーガード。昔の名前は高柳恭司。初恋の少女「みお」を忘れられず、妹を失ったトラウマも抱えている。
美緒が手紙の相手だとわかっていて、そばにいるために自ら美緒のボディーガードになることを志願した。
小さい頃の初恋相手である「みお」をずっと探していたが、その「みお」が美緒であることを知ると、カスミソウが好きな美緒のためにカスミソウの花束を用意して美緒にプロポーズする。

ヒロイン: 高梨 美緒(たかなし みお)、25歳。高梨家の養子で製薬会社CEOの娘。気が強いが、昔の「きょうちゃん」を今でも密かに探し続けている。好きな花は「カスミソウ」。カスミソウの花言葉は幸福と永遠の愛、感謝、純粋な心。
実は寂しがり屋で一人が苦手。力強く守ってくれる恭司のことが気になる存在になるが、なぜか素直になれず反発してしまう。
恭司が「きょうちゃん」だと知り昔の記憶がよみがえる。恭司からカスミソウの花束をもらいプロポーズされると「カスミソウの花言葉は?」と問いかけるが恭司からの甘いキスを受けてプロポーズを承諾した。
養子のことを隠していた父親とも誘拐事件の後に和解した。

敵: ライバル企業のスパイ。新薬機密を狙う。美緒の父親を拉致し、新薬開発のために美緒までも拉致しようとするが、恭司が美緒を守ることで失敗する。
実は美緒を拉致しようとしたのには、もう一つある理由があり……。

美緒の父:高梨宗三(たかなししゅうぞう)55歳。
製薬会社のCEOで、美緒の父親。だが美緒とは血縁関係はなく、美緒を養子に迎えた本人。
美緒に養子のことを話そうとしていたがなかなか言い出せずにいた。 
機密情報を狙う何者かに命を狙われ拉致される。命の危機を迎えるが、恭司たちの活躍により救出される。 
なんとしても美緒を守るために機密情報のことを漏らさまいと恭司に美緒のボディーガードを頼む。
美緒と恭司が昔思い合っていたことは知らず、たまたま恭司にボディーガードを頼んだことで美緒と恭司の運命を引き合せることとなった。
恭司に「美緒のことをよろしく頼む」と伝える。


②あらすじ
製薬会社CEOの娘である美緒は、父親の会社を狙った脅迫事件で恭司と出会う。
しかし「私に命令しないで」と反発する美緒に、恭司は「お前に死なれたら困るんだよ」と返す。
「ほっといてくれない。あなたには関係ないんだから」と美緒は突っぱねるが「生憎だけどそういう訳にはいかないんだよ。 それが俺の仕事なんでね」と美緒を言いくるめる。
それからすぐに二人は同居が始まる。ある夜、美緒が「あなたはどうして私のボディーガードになったの?」と聞くと、「決まってるだろ。父親に頼まれたからだ」と素っ気なく答える。
恭司は美緒の笑顔に懐かしさを感じ動揺を隠し、美緒も彼の視線に何か引っかかる様子だった。
美緒は部屋で宝箱に入れていたボックスから古い手紙を取り出す。そこには少し幼い字で「美緒と僕は絶対に運命の赤い糸で結ばれている」と書かれた「きょうちゃん」からの宝物。彼女は養子になってからもこの手紙を頼りに彼を探して続けていた。
叶うことのない約束だと知りつつも、どこかで向かえに来てくれるのを待っていたのだ。

ある日の夜外出先で美緒が何者かに尾行され、危険な目に遭うが恭司がそれを庇って軽傷を負う。「私のせいだ……。本当にごめんなさい……」と謝る美緒に、「それが俺の仕事だ。気にするな。……それよりケガはないか?」と美緒の頭を撫でる。
美緒は「うん、大丈夫……」と答えるが、恭司に申し訳ないことをしたと後悔する。その時、胸の奥に何か違和感を感じたが、その違和感が何なのかわからずにいた。

その日の夜、恭司の傷跡だらけの手を見て「あなたはどうして、そこまでして私を守るの? あなたは私といたら死ぬかもしれないのに……」と問うが、「頼まれたからだって言ってるだろ。何度も言わせるな」と繰り返すばかりで、それ以上は何も言われなかったことにモヤモヤ仕手しまう。
しかし父親の書斎を整理していた時、美緒はたまたま養子縁組の書類を見つけ、自分が父と母と血縁関係がないことを知ってしまい、勢いのまま家を飛び出してしまう。
恭司はそんな美緒を慌てて追いかけていき、美緒の腕を掴む。 
「離してっ! 偽物の私に、生きる価値も守る価値もないんだから……!」と泣く美緒を恭司が抱きしめ「お前に守る価値があるかどうかは、この俺が決める」と呟く。美緒は恭司の胸の中でたくさん涙を流す。
美緒は恭司の抱擁に「きょうちゃん……?」と一瞬疑いを持つが、手紙を思い出して違うと否定する。

ここでヒーロー目線・・・近所の「みおちゃん」と遊び、庭でカスミソウを摘んで渡した日々。父親の失踪で母親が旧姓「瀬戸」に戻し引っ越したため離れた。恭司は美緒が初恋の相手だと気付くが、彼女が覚えていない様子に黙る。
美緒に対する気持ちに気付きながらも、知られたくないと葛藤する様子を描く。

敵が「偽物の娘」と知りながら別荘に襲撃。恭司は鍛えた技で敵を次々と倒していく。そして美緒に銃を向けた最後の一人を体を盾にして守る。 
全て片付けた後、血まみれの恭司を見て美緒は動揺するが力強く美緒を抱き寄せ、「俺はお前を初めて見た時から守りたいと思った。父親に頼まれる前からだ。 昔、近所にいた高柳恭司を覚えてるか?」と問いかける。
その言葉で美緒は「きょうちゃん……?」と記憶が蘇り、目の前にいる恭司があの時の「きょうちゃん」だと気付き動揺するが、「私、ずっとあなたを探してた。……あの手紙をずっと信じてた」と涙ながらに打ち明ける。
恭司は任務前に美緒の写真を見て、美緒が初恋の少女と気付き自ら美緒を守りたいと志願。そして美緒もまた「運命の赤い糸」の言葉を胸に、あの頃の彼を追い続けていた。
二人はずっとお互いに思い合っていたのだった。

事件後、監禁されていた父親が解放され安堵した美緒であったが、父親に養子のことについて問う。父親は「血縁関係がなかったしても、美緒は大事な大事な私の娘だよ」と言われたことで父親と和解。
美緒は恭司に「きょうちゃんがそばにいてくれたからだよ。 赤い糸は本物だったね、守ってくれてありがとう」と笑う。
恭司は「美緒、俺はもう二度と美緒のそばから離れない」と返す。美緒は恭司の手を握り「うん」と小さく頷いた。

数日後、恭司は美緒を自宅の庭に連れ出し、昔一緒に摘んだカスミソウの花束を差し出す。そして「美緒、ずっと守ってきた。でもこれからはお前を幸せにする役目を俺にくれ」と跪いてプロポーズ。
美緒は目を輝かせ、「ねえ、カスミソウの花言葉って何?」とわざと聞く。恭司は「気になるなら自分で調べろ」と意地悪く笑う。
美緒が「えー、教えてくれないの〜」とそっぽを向くと、恭司は彼女の身体を引き寄せてそのままキス。
目を丸くして驚く美緒に耳元で「じゃ教えてやる。 カスミソウの花言葉は……幸福と永遠の愛だ」と囁く。
その瞬間美緒は涙ぐみながら「……じゃあ、今度は私があなたを守るよ。 一生かけてでも、この愛できょうちゃんのことを守り抜くから」と微笑む。
二人は過去と未来を繋ぐ運命の絆で結ばれ、爽快感と温かな幸福感を残して完結へ。