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その真っ白い雪のような肌を褒めてくれたのは、晴の母親ただ一人だけだった。
おまけに晴の平熱は34度と極めて低く、そのお陰で、小さい頃はお化けだ幽霊だなどと、同級生の虐めの対象だった。
もっとも、今もなお、(別の意味で)悪魔だ化け物だと言われているわけであるから、状況はそれほど変わっていないと言えるけれど。
───それにしても、
「………はあ」
晴は今朝の男のことを思い出す。なんだか朝から一気にどっと疲れた。一蹴した六人の不良連中のせいじゃない。その後に晴の腕を掴み、自分を呼び止めた男の方だ。
“一目惚れ! 付き合って!”
思い出すと同時に、晴の額にじわりと冷や汗が滲む。
いやいやいや、待て待て待て。落ち着こう、一旦落ち着こう。今まで初対面の人間に、気付かれたことなんて、ただの一度もない。一度も、だ。
晴はぶんぶんと首を横に振る。なにかの間違いに決まっている。あの金髪男の目と脳味噌が極端に異常だっただけなのだと、自分に言い聞かせた。
