「……あのさ、」
晴は、できるだけ平静を装いながら、そしてできるだけ心の底から、お腹の底から、低い、低い、低い声を出す。そして、晴が溜息を吐きながら続けた次の一言で、光理は石化することとなる。
「僕、男だから」
「…………へ?」
「……なのでさよなら」
晴は冷たくあしらい、ついでに光理の腕も振り解いた。
ボク、オトコダカラ──
ボク、オトコダカラ──
ボク、オトコダカラ──
ボク、オトコダカラ──
光理の脳内を、そのフレーズだけがエコーする。
「そん、え、嘘だろ……」
馬鹿な。
俺ほどの男が、月丘 光理ともあろう男が、この俺が、男と女の区別も付かなかったなんて。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
そう思いながら頭を抱え、いやまさかそんな、とまだ疑念が晴れない。もう一度ちゃんと確かめようと、光理はそうっと顔を上げる。
スタスタスタと足早に遠のいて行くその“儚げな色白美人”は───、
あれ? 確かに学ラン着てる。マジだ。
