「なんっだアイツ……」
思わず見惚れた。思わず足を止めた。思わず息を呑んだ。
右足一本。たったそれだけで、六人の男たちを飄々と成敗しやがった。
ただ、それだけなら、月丘 光理ともあろう男がこの高校生活の初日、この遅刻ギリギリの中、足を止めてまで野郎共の喧嘩など見学するはずがなかった。
繰り返すが、光理は、思わず見惚れたのだ。
目を擦って二度見しないと存在を確認できないのではないかと思うほど、透き通った白い肌。ミルクティー色のショートヘアは柔らかそうで、ふわふわしていて、───なんつーの? すげえいいもん食ってる子猫の毛並みみたい、そうそれだ。光理は自らの語彙力の乏しさに恐怖を覚えた。
華奢な首元、狭い肩幅、整った薄い唇、切れ長の目、長い睫毛。ちなみに下睫毛もばっちりふんわりと生えていて、そんなところまで目視できてしまう自分に若干引きそうになった。身長は170センチくらいだろうか。
儚げな色白美人、なんていうキャッチコピーがぴったりと当てはまる。手で掴もうとでもすれば、触れた瞬間からそのまま消え入ってしまいそうな、そんな危うさを孕んでいるように見えた。
光理の瞳からは今や、困惑や驚愕の色は消え失せ、きらきらと眩しく輝き、憧れや尊敬などともまた違った興奮の色が放たれていた。同時に、光理は強く思った。
控えめに言って、超俺好み。
