「光理、あのさ、そんなことより」
「うん?」
初等部から青園学園に在籍しているということは、知らないはずがないだろう。
「この学校に、確か……」
口を開こうとした刹那、体育館に行く生徒の波の中、晴の視界の遠くに見えた、“赤い頭”。見た瞬間に、分かった。
見つけた。
「ん? 晴どーした? 顔、変だけど」
「あ、うん…なんでもない。…あと悪口はヨクナイ」
晴は無意識にぐっと握りしめていた拳を緩めた。
いっけない、興奮のあまり。ゆるゆると解けそうになった口の端の緊張は、再度きゅっと喰いしばる。───あは!ビンゴだ、ビンゴ!やっぱりこの学校にいるって本当だったんだ! けれどそんな感動の色は表には出さない。
ポーカーフェイスであることは、なにも晴の先天的な性質ではない。感情は胸の内に秘めるべきであると、15年間生きてきた中で学んだだけに過ぎない。もともとの性格から言えば、晴はどちらかというと感情が豊かな方である。
だからせめて心の中だけでは、酷く幸福に満ちた表情を浮かべて、───見つけたよ、“赤桐 紅”。
