晴も、そんなことは百も承知だった。百も承知だったからこそ、真っ直ぐにそう言われて、どきりと心臓が跳ねたのだった。
“あったかい”。
朝と比べて、のことだというのも理解している。それが例え相対的な見解なのだとしても、それでも生まれてきてから十五年間で、初めて言われた言葉だった。
平熱34度の超低体温少女の晴にとって、その言葉は言わば、自分の存在を認めて貰えた証のような、魔法の呪文へと変貌を遂げた。
それに、体温が上がるきっかけがあったのだとしたら完全に、目の前の金髪男に告白をされたことが要因だ。それはそれは見事な玉砕っぷりではあったけれど。
───調子、狂うなあ。
「よろしく晴ー〜〜!」
言いながら、ブンブン上下に振り回される右手。早速下の名前を呼ぶのか、しかも呼び捨てか、図々しい、とも思ったけれど、晴は不思議と嫌な気はしなかった。どちらかといえば、嫌な気がしなかった自分に嫌気が差した。
「……光理。痛いから」
そう言って光理の手を払ったのは、精一杯の照れ隠しだった。
