僕だけのヒーロー

 


「ユズリハ ハル。季節の“春”じゃなくて、天気の“晴”」


丁寧に漢字の説明まで加え、晴は差し出された手を取った。


「あっ」


瞬間、光理は小さく声を漏らす。


「……なに?」

「さっきよりはあったけーなっ!」

「……は?」

「手ぇ」

「………」


────手。


「さっき掴んだときは、ちょう冷たく感じたから」

「………」


光理のその発言は、なにかを察したものでもなければ、妙に勘繰ったものでもなんでもない。ただ普通に、感じたことをそのまま率直に口にしただけだった。