光理は腕を組み直して、暫く頭を悩ませる。やがて、なにか閃いたかのようにがばっと大袈裟に顔を上げたその表情は、まるで宝箱でも見つけた少年のようだった。
「物凄く惜しい! 物凄く惜しいけど……仕方ない!」
一体なにが惜しいのだろう。しかしたいして興味のなかった晴は、そのまま静かに光理の話に耳を傾けることに徹する。
「俺、月丘 光理! 非常に残念ながら男と付き合う趣味はないから、…友達! なら! なっ!」
そうして差し出される、右手。
ここで晴はようやく、惜しいというのは、晴が男であることが惜しい、という意味であったことを理解する。
「……ップ、」
「は? なんで笑うんだよ!?」
いや、笑うでしょう。
一目惚れしたなんて嘘なんじゃね?と思うほどの、潔い切り替えの早さ。とは言っても、現在“男”である自分に恋心を抱かれたままでも、それはそれで困りものなのだけれど───。
いずれにせよ、その清々しさから察するに、悪い奴ではなさそうだ。
