恋しちゃってもいいですか?

「芹沢さんは俺みたいな体験したことないから分からないんですよ。先輩はずっとエースで輝いてきた人間やから俺みたいに谷底に落ちた人間の気持ちなんて分かりません。」
そう後輩にハッキリ言われて呆然と立ち尽くす先輩。なんか見てて可哀想に思えてくる。
「そっか…。お前はもうあの時の情熱はないんか。」
「はい,ありません。もういいすか?」
「あぁ…。」
「もう勧誘して来ないで下さいね。」
と言ってデカい男はまたスタスタ歩いて行った。
後輩を見送る先輩の後ろ姿がまるで雨が降っているように見えた。

次の休み時間,俺は思い切ってあのデカ男である小野寺に話しかけてみることにした。
「伊織…大丈夫か?」
「ほんまに無茶だけは辞めときな?」
洸と優希に心配されながら俺は小野寺の席に向かった。