恋しちゃってもいいですか?

学校を出て2人で帰る。もうみんなは先行っちゃった感じかな。それにしてもさっきから伊織は無言。やからか知らんけど私も無言になる。何を話せばいいんか分からんから。なんか伊織とたったの数十分で気まずくなったな。
せっかく伊織と仲良くなれたのに。せっかく私も自分の気持ちに正直になろうと思ったのに。せっかく私も伊織の気持ちに応える準備してたのに。全てがパァーになった気分。何も話さんかったら一緒におる意味ないやん。何のために伊織は私に話しかけてきた?
(考えるだけで嫌になってくる。もう考えるん辞めよ…。)
「伊織,私急がなあかんからもう帰るね。」
自分でも分かるくらい掻き捨てるように言う。
「あ,あぁ…じゃあ。」
暗く小さな声。チラッと顔を見ると目を合わせず俯いてる。そんな伊織をほっといて私は自転車に乗り家に帰った。