「相変わらず人気者ですね〜」 移動した場所で楽しげにあたしをからかうように敬語で言葉を漏らしたのは 広川 皐月。一応、親友だと思う。 「人気者なんは、ス・バ・ル!」 「はいはい、そうですね」 あたしが声を張りながら皐月に言い返すと皐月はうるさそうに片耳を押さえた。 「で、行くやろ?週末のライブ」 皐月のいうライブとは、スバルのいるグループが地元の野外ステージでするファンクラブイベントのこと。 「は!?行かん行かん」 首を大袈裟に左右に振りながらあたしは皐月の誘いを拒んだ。