摘まれない花


中に入れば



黒がメインのシックな雰囲気




奥に、なにあれ、









「これ、愛菜の」



渡されたのはピンクの歯ブラシ




「ありがとう」




いつの間に準備してくれたんだろ、





歯磨き粉を出してもらい



歯を磨く
 






「カップルみたい、」



小さな声で呟く




「ふはっ、なんだそれ


婚約してんじゃん」





あれ、聞こえてた、


「そうじゃなくて、

こんなことやるの初めてだし、」



「俺も。


誰かと2人で肩並べて歯磨きなんて

したことねぇ」





そうなんだ、




「お母さんとか、

一緒にしなかったの?」



ふと、鏡越しに湊杜の顔を見ると



何も映さないような


漆黒の瞳には


絶望が映っているように感じた






「変なこと聞いたね、

ごめん」





「いや。」



一言で返される




やらかした、






「、?

お前、、




いや、なんもねぇ」