やれやれ。やっと居心地がマシになった気がするわ。いっそ二人ともこの子に惚れて、全然違う誰かと恋をしたいなー。いや……婚約がそのままだから無理か。レヴィアスがブレンダに惚れたら私はアーロンと結ばれるはめになるのか。

 これ……結局一番美味しいところはチェルシーか持っていくパターンじゃ……。そもそもハワードに惚れているのか脱喪女をしたいだけなのかも分からないわね。彼女も移り気がすぎるわ。

 ……しかし、この六人……なかなか話が弾まないな。

 沈黙が交じりつつの雑談の中でモグモグとマカロンを食べながら次はなんの話題がいいかと悩んでいると、チェルシーが変な提案をした。

「親睦を深めるために、連想ゲームでもしてみます?」
「連想ゲーム?」

 マジカルなんとかみたいな?
 
「はい。例えば青といったらなんでしょう、のような。私たちは決まっていますよね、ハワード様」
「ふふ。オリオンアクリファスト液体試薬ですか?」
「ですよね。んふふっ、それぞれの相性のよさも確認できるかもしれませんわ」

 この二人、出来上がっちゃってるわね……。

「青か。ふむ……レイナの瞳の色かな」
「今更口説かないでほしいですね、兄上。レイナ嬢、あなたは青といったらなんです?」
「え……」

 い、いきなり振られても……青……青……。

「じ、静脈?」

 あれ、場が固まった。

「ふ……なるほど。私はレイナ嬢と相性がいい自信があるよ。赤といったら何かな。一緒に答えようか。せーの――」

 え、え、そう言われたらやっぱり。

「「動脈」」

 どんな会話だ……。

「やっぱり私たちの相性はよかったらしいね」
「今のは僕だって当てられた。まったく……ブレンダ嬢は青といったら何かな」
「そ、そうですわね……湖でしょうか。私の家の領地には大きな湖がありますの。父の視察に同行して伺ったのですが、秋深くに渡ってきた水鳥が美しく、湖の青と相まって心が洗われるようでしたわ」

 あれ……静脈とか答えた私が、情緒がなさすぎる人みたいじゃない?

「それは僕も興味を引かれるな」
「兄上、レイナ嬢の静脈には興味を引かれないんですか?」
「え……いや……」

 変な会話。
 でも、さっきよりはずっと楽しい。

 皆もそうだったようで、私たちはそのまま連想ゲームを続けた。