敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

最後のスライドを映し終えると、一瞬の静寂が訪れる。

次の瞬間、会議室には拍手が響き渡った。私は少し驚きながらも、胸を張って頭を下げる。

「素晴らしいプレゼンだったよ、木崎さん」

部長が満足そうに声をかけてくれた。

「ありがとうございます!」
「特に中盤の説明がわかりやすかった。このプロジェクト案、早速進めていく方向で調整しよう」

部長の言葉に、周囲も頷く。その様子を見て、心の中で思わずガッツポーズをした。

会議が終わり、観覧者として参加していた藤堂さんが近づいてきた。

「よくやったな」

短く、でも力強いその一言に、胸が一気に満たされる。

「はい!藤堂さんのおかげです!」

顔を輝かせながら答えると、藤堂さんは微笑んで、軽く肩を叩いてくれた。たったそれだけなのに、十分すぎるほど嬉しかった。

もちろん、自分の案が会社全体で推進するプロジェクトとして採用されたことも喜ばしい。
けれど、それ以上に嬉しかったのは、努力を重ねた自分を藤堂さんが認めてくれたことだった。

胸の奥に、じんわりと温かいものが広がっていく。

——私は、ちゃんと前に進めている。

そう確信しながら、私はもう一度、大きく息を吸った。