敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

好きだった頃の京介を思い出す。
いつも自信たっぷりで、私を引っ張ってくれる頼もしさに惹かれた。

だけど、彼の自信は時に自分勝手で、私の心の奥まで踏み込んでくる。
そのたびに、彼の存在が息苦しくなったのを思い出す。

机の上に並んでいく、美味しそうな料理を見つめた。
温かい居心地の良さを手放す覚悟を決める。

「あのときの私は弱かったの。自分の気持ちを伝えることすらできなくて。でも今ははっきり言える。京介とは別れるべきだったと思ってる」

自分でも思いがけず冷静な声が出た。
でも、京介はまるで聞いていないかのように笑みを浮かべている。

「そんな強がりは茉莉らしくないよ」

低い声で囁かれた瞬間、胸がざわつく。京介はさらに続ける。

「一人じゃ生きていけないタイプだろ。誰かに支えてもらわないと不安なんじゃないの？」

その言葉は、かつての私の弱さを正確に突いてきた。

「違う……」

震える声でそう言ったけれど、自分でも説得力がないのがわかる。
京介の目は鋭く、私の心の奥底を見透かしているようだった。

「俺にはわかるんだよ。本当は強がってるだけだって。変に無理したらまた潰れるだけだぞ」

その言葉は一見優しげだけれど、どこか支配的な響きを持っていた。過去の苦い記憶が頭をかすめる。