敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

乱雑に頭をかきながら、窓の外に目を戻した。

冷たい夜の闇とは裏腹に、心の中にはたったひとりの存在が焼き付いて離れない。


木崎は、俺が知る誰よりも強くて、真っ直ぐで、まるで光のような存在だった。

何かに必死に立ち向かおうとする姿勢。
芯のある言葉。あのまっすぐな瞳。

そのすべてが、俺の心に確かに灯りを灯している。

けれど、俺が手を伸ばせば、木崎の人生まで巻き込んでしまうかもしれない。それが怖くて、あと一歩が踏み出せない。

「これ以上、踏み込むな」

自分にそう言い聞かせるたびに、木崎への想いが増していくのがわかる。

彼女の笑顔。何気ない仕草。そして、俺を当たり前のように受け入れてくれる優しさ。

どれだけ距離を置こうとしても、木崎の存在が俺の中で大きくなっていく。

「……俺は、変われるのか」

木崎の隣に立つ資格があるのか。

この想いを口にしてしまったら、もう戻れない。
揺れ動く気持ちのすべてを含んだ声は、まるで夜空に問いかけるようだった。