敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

彼はきっと本心で私を助けようとしてくれている、彼の目にはそう心の底から信じられる何かが宿っていた。

「落ち着くまでの間でいい。無理せず、ちゃんと休める場所が必要なら、使ってほしい」
「でも……本当に、いいんですか？」

迷いながらもか細い声で尋ねると、彼はふっと柔らかく微笑んだ。

「もちろん。見た通り、スペースを持て余してるんだ。好きに使ってくれたらいい」

その言葉に、胸の奥にあった重さが少しずつ溶けていくのを感じた。

「……じゃあ、その、お言葉に甘えて」

小さく頷く私を見て、彼はホッとしたように目を細める。

「うん。それがいいよ」

その表情があまりにも優しくて、また涙が込み上げそうになる。

「でも、落ち着いたらすぐに、新しい家を見つけられるようにします」
「別に急がなくていいよ。俺は困らないから」

その一言が、胸の奥に深く染み渡った。
こうして、藤堂さんとの同棲が始まる。

それは、絶望しか感じられなかった未来に、ほんの小さな希望が灯った確かな瞬間だった。