敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

「……新しい部屋を探す、というのはそういうことか」

低く呟かれた言葉が、先程の私の独り言を受け止めていたことを知らせる。知った上で声をかけてくれた彼に温かい感謝の気持ちが湧き出した。

彼は少しだけ視線を落として、それからゆっくりと私を見つめる。

「大変だったね。だけど、自分を責める必要は絶対にない」

その言葉が、驚くほど深く心に沁みた。

「世の中には、自分の努力だけではどうにもならないことなんていくらでもある。……それでも、木崎さんはよく頑張ってると思うよ」

思わず顔を上げると、藤堂さんは真剣な目で私を見ていた。
その視線には、憐れみではなく、ただ寄り添ってくれている優しさが感じられた。

「……ありがとうございます」

気づけば、涙が滲んでいた。それを隠そうとする気力さえ湧かない。
そっと差し出されたティッシュを受け取ると、彼の指が一瞬、私の指に触れた。

たったそれだけのことなのに、胸の奥がぎゅっとなる。

「無理しなくていいよ」

彼の静かな声は、どこまでも優しかった。