敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

「仕事、ずいぶん大変そうだったね。家ではちゃんと休めてる?」

藤堂さんの優しい問いかけに、胸がきゅっと締めつけられる。
自分では隠していたつもりだったのに、まるで全部見透かされているみたいだ。

「……正直、あまり休めてないです」

ぽつりとこぼれた言葉とともに、今まで抑えていた感情が少しずつ溢れ出す。

昨日の私が何を話したのか正確には覚えていないけれど、私は彼に救いを求めていたのかもしれない。

「要領が悪いのは分かってるんですけど、人間関係も含めて上手くやれなくて……。今日もみっともない姿を見せました」

声が次第に小さくなる。けれど、藤堂さんは何も言わず、ただ静かに私の言葉を待っていた。

「それに……家にも帰りたくなくて」
「……帰りたくない?」

彼の静かな問いに、小さく頷く。

「色々あって、同棲してた元カレと別れたんです。でも、家を出る準備がなかなかできなくて……時間もないし、気持ちの整理もつかないし……」

そう言いながら、無理に笑ってみせる。

「まぁ、見る目がなかった私が悪いんですけど」

藤堂さんは、そんな私の表情をじっと見つめた。
いつもの穏やかな雰囲気のままだけど、その瞳の奥に、ふっと陰が落ちた気がする。