敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

昨晩助けてくれた藤堂さんが、まさかオフィスで再び現れるなんて。

偶然にしては出来すぎた再会に、心が浮き足立つのを抑えきれない。

離れた場所で待つ藤堂さんにはバレないように、閉じかけたディスプレイを利用してさりげなく前髪を整えた。

22時を過ぎて疲れた顔は少し手を加えたところで大差ない。それでも直してしまうのは、やっぱり乙女心というものだろうか。

ディスプレイ越しの自分と目が合い、思わず苦笑いがこぼれた。

「お待たせしました」
「……ああ」

スマホから顔を上げた彼の低く落ち着いた声。その短い返事だけで胸が少し弾むのを感じる。

曖昧に微笑み返しながら、私は彼の隣に並び、二人でオフィスを後にした。