敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

それからさらに数時間。藤堂さんの尽力のおかげで、昼過ぎにはトラブルが完全に解決した。

「これでひとまず、大丈夫だと思います」

彼がそう告げた瞬間、オフィス中が歓声に包まれた。
長い間張り詰めていた空気がふっと緩み、疲れた顔に次々と笑顔が戻っていく。

「藤堂さん、ほんとにすごい！」
「ありがとうございます。本当に助かりました」

周囲の社員たちが次々と声をかけ、自然と彼の周りに人だかりができていく。
少し困ったように微笑みながらも、一人ひとりに丁寧に応じる藤堂さん。
その誠実な態度に、さらに視線が集まっていた。

「ドラマみたい……ってか、超かっこいい♡」

うっとりした表情で夏目さんがつぶやき、そのまま迷いなく輪の中に加わる。私は、それを横目で見ながら、小さく息を吐いた。

あの場にいる藤堂さんは、まるでヒーローみたいに周囲の視線を独り占めしていて。

私はただ、遠くからそれを見ているだけ。眩しすぎて、なんだか同じ世界にいる気がしなかった。