敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

雨に濡れた体が重いのか、見知らぬ彼の腕の中で私の意識はぼんやりと遠ざかりつつあった。

「着いたよ」

彼の声で我に返る。部屋の扉が開くと、そこには広々とした空間が広がっていた。大きな窓の外には雨で霞んだ街の景色が広がる。

「下ろすよ」
「え、ちょ、ちょっと待ってください」

彼が促したのは、真っ白で高級そうなソファだった。

私は躊躇して、彼の首元にしがみつく。ずぶ濡れの自分が乗るなんて、とても許される気がしなかったからだ。

「大丈夫」

彼はそう優しく微笑むと、力を抜かせるように優しくトントンと背中に触れ、静かにその身をソファに寝かせてくれた。

「タオルと、これ、着替え」

浴室から戻ってきた彼が、バスタオルとルームウェアを差し出してくれる。

「立てそうなら風邪を引く前に、温かいシャワーを浴びておいで」

その言葉に逆らう気力もなく、私は言われた通りに浴室へ向かった。