要領が悪く、何一つまともにできない私には、男を見る目さえなかった。本当に救いようがない。
ーーいや、違うか……。
私が彼をそうさせてしまったのかもしれない。
私の不甲斐なさが、あの優しかった彼を苛立たせ、変えてしまったんだ。
どれだけその場に立ち尽くしていたのだろう。
気づけば雨脚はさらに強まり、全身が冷たさで麻痺していた。
その場から動き出したのは、ただの反射だった。
ここから逃げたかった。京介から、そして、このどうしようもない現実から。
無意識に街を彷徨っている間、頭の中では、京介の言葉が何度も反響していた。
「息抜きくらいさせてくれよ」
その一言が心の中を暴れ回り、何もかもを破壊していく。そして最後には、ただ空っぽな感覚だけが残った。
涙も出ない。泣けるだけの余裕すら、もう奪われていた。
やがて、私は信号のない横断歩道に差しかかった。
ぼんやりと歩き出そうとした瞬間、遠くからクラクションの音が響く。車のライトが近づいてくるのが見えた。
不思議と、避けようという気持ちは湧かなかった。
車は急ブレーキをかけて止まり、運転手が窓を開けて怒鳴る声が聞こえるような気がする。
けれどその声は私の耳には届かなかった。ただ、雨音だけが冷たく響いている。
「……終わらせてくれたらよかったのに」
呟いた声は雨に飲み込まれ、誰にも届かない。
すべてが遠い。すべてが冷たい。
生きている実感は、どこにも見つけられなかった。
ーーいや、違うか……。
私が彼をそうさせてしまったのかもしれない。
私の不甲斐なさが、あの優しかった彼を苛立たせ、変えてしまったんだ。
どれだけその場に立ち尽くしていたのだろう。
気づけば雨脚はさらに強まり、全身が冷たさで麻痺していた。
その場から動き出したのは、ただの反射だった。
ここから逃げたかった。京介から、そして、このどうしようもない現実から。
無意識に街を彷徨っている間、頭の中では、京介の言葉が何度も反響していた。
「息抜きくらいさせてくれよ」
その一言が心の中を暴れ回り、何もかもを破壊していく。そして最後には、ただ空っぽな感覚だけが残った。
涙も出ない。泣けるだけの余裕すら、もう奪われていた。
やがて、私は信号のない横断歩道に差しかかった。
ぼんやりと歩き出そうとした瞬間、遠くからクラクションの音が響く。車のライトが近づいてくるのが見えた。
不思議と、避けようという気持ちは湧かなかった。
車は急ブレーキをかけて止まり、運転手が窓を開けて怒鳴る声が聞こえるような気がする。
けれどその声は私の耳には届かなかった。ただ、雨音だけが冷たく響いている。
「……終わらせてくれたらよかったのに」
呟いた声は雨に飲み込まれ、誰にも届かない。
すべてが遠い。すべてが冷たい。
生きている実感は、どこにも見つけられなかった。



