敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

「茉莉、ありがとう」
「……? 急にどうしたの?」

不思議に思って見つめると、柊真は私の髪を優しく撫で、穏やかに微笑んだ。

「俺はずっと、人を信じるのが怖かった。裏切られるくらいなら、全部自分でやろうって思ってた。……でも、お前だけは違った」

静かな声が、心の奥深くまで染み渡る。

「茉莉だけが、俺の固く閉ざした心を砕いてくれた。茉莉が『そのままでいい』って言ってくれたから安心して隣にいられたし、どこまでも真っ直ぐな姿に、茉莉なら信じてもいいって思えた」

その言葉が、胸に深く響く。

あの頃の私は、どん底にいた私を救ってくれた彼に、ただ幸せになってほしくて、必死だった。

少しでも支えになりたくて、そばにいた。
そして今——私は、彼にとって本当に大切な存在になれたのだろうか?

「茉莉と出会ってから、俺はずっと幸せ者だ。……世界の誰よりも」

その一言が、私の心を満たす。
当時の様々な感情が蘇り、気付けば一粒の涙がこぼれていた。