敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

エレベーターが止まるのを待っている間、肩がずしりと重くなるのを感じた。
鏡に映る自分の顔はひどく青白く、頬はこけ、目の下のクマが容赦なく浮かび上がっている。

最後にぐっすり眠れた日はいつだったか分からない。

それでも仕事は努力だけではだめで。
周りに評価されなければ、どれだけ睡眠時間を削っても、心をすり減らしても意味をなさない。

ーーもう、疲れた。

ため息をつきながら、映る自分から視線をそらした。
自分のデスクに戻ると、村上さんの姿はなかった。

壁の時計は定時の18時を過ぎており、ほっと胸をなでおろす。正直、今の自分に村上さんの叱責を受け止める気力など残っていなかった。

「夏目さん、ごめん。今日は帰るね」

楽しそうに男性社員と談笑しながらパソコンに向かっていた夏目さんに声をかけると、彼女は丸い目を驚いたように大きく見開いた。

「あっ、はい。お疲れ様でした!」

すぐににこやかに頭を下げるその姿に、どこか申し訳ない気持ちが湧き上がる。
けれど、それ以上話す余裕はなく、私はただ早足でオフィスを後にした。