敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

「いつまで怒ってるんだ?」
「怒ってないです、恥ずかしいだけです……」

お風呂を終え、ソファで膝を抱えて座っていると、バスローブ姿の柊真が隣に腰を下ろした。

「……はは、可愛いな」

くしゃっと笑うその表情に、私は一瞬で頬を染める。

ふとした瞬間に見せる、子供のように無邪気な笑顔。
普段は落ち着いていて、私をリードしてくれる柊真のそんな表情に、私はどうしようもなく心を撃ち抜かれる。

窓の外にはライトアップされた異国の街並みが広がり、静かでロマンチックな夜が始まろうとしていた。

「一日目はどう? 楽しかった?」

私は、抱えていた膝を離し、目を輝かせながら、迷いなく大きく頷いた。

「本当に! どの景色もすごく綺麗で、夢みたいだった。海外ってすごいんだね!」
「茉莉が嬉しそうだと、俺も嬉しい」

無邪気になった私を愛おしそうに見つめ、柊真はそっと私の頬に触れた。
先ほどまでの笑顔は消え、今度は真剣な眼差しが私を捕らえる。

胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。

ちゅっ——
頬に触れる、優しいキス。

それだけなのに、溶けてしまいそうなほど甘くて、私は思わず瞬きを繰り返した。