敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

夕暮れに染まるヨーロッパの街並みを歩きながら、私は柊真と観光や買い物を楽しんでいた。

どの景色も、どの瞬間も、まるで夢のように美しくて——私は何度も、隣にいる彼の存在を確かめるように視線を向けた。

ホテルのスイートルームに戻ると、私はソファにパタリと倒れ込む。

「あぁ……もう歩けない……」
「だらしないな、まだ着いて１日目だぞ。夕飯はどうする？」

スーツケースを端に置きながら、柊真が私を見下ろして笑う。

「もう動けないー！柊真、一人で行ってきて……」

冗談めかしてそう答えると、彼は肩をすくめながら私の隣に腰を下ろした。

「じゃあ、風呂でも入るか」
「え……？」

驚いて顔を上げると、柊真はごく自然な顔で言い放ち、そのまま私を抱えあげた。

「まっ、待って柊真！やだ……っ！」

誰もが憧れるお姫様抱っこというものを、こうも軽々としてしまうのだから、困ってしまう。

「当然だろ、新婚旅行なんだから」
「ちょ、ちょっと待って心の準備が……！」

真っ赤になって抗議する私を、彼はしっかりと抱えあげた。