敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

広々としたオフィスには、社員たちの快活な声が響き、木の温もりを感じさせるインテリアが穏やかな雰囲気を醸し出していた。

私はデスクの前でスケジュールを確認しながら、ふと視線を上げた。視線の先には、堂々と社長席に座る柊真の姿がある。

かつては一人で戦うことを選んでいた彼が、今では多くの仲間に囲まれ、堂々と指揮を執っている。

その姿が誇らしくて、胸が温かくなった。

「茉莉、この後のスケジュールを確認してくれる?」

彼の仕事中に見せる真剣な眼差しと低い声は、昔から変わらない。

でも、その奥には、以前よりもずっと穏やかな感情と確かな信頼が宿っていた。

「午前中に取引先とのオンライン会議、午後から新規プロジェクトの進捗会議です。それと、例の資金調達の資料は会議前にお渡ししますのでチェックお願いします」

タブレットを操作しながら答えると、柊真は驚いたように眉を上げ、それから満足げに頷いた。

「さすがだな。茉莉の資料は安心感が違う」

冗談めかした言葉に、私は微笑む。

「社長が私を信じて任せてくれるおかげです」

その瞬間、柊真の瞳にかすかな感慨が滲んだ。きっと、彼も同じことを思っているのだろう。

昔は、人を信じることができなかった彼が、今ではこんなにも頼もしく、温かく私を見つめてくれている。

その変化を思うと、胸がじんと熱くなった。