敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

「……ありがとう、大切なものが出来るのは、やっぱり怖いけど……。それでもこんなに愛おしい気持ちになるんだな、こんな気持ち忘れてた」

柊真さんは私をそっと引き寄せ、耳元で囁く。

「もう絶対に離さない。嫌と言われても絶対に」

その低い声が、心の奥に染み込むように響く。
心臓がドクンと跳ね上がった。

「……はい」

震える声で答えた瞬間、柊真さんの手がそっと私の頬を包み込んだ。

「茉莉、愛してる」

息が触れ合う距離に、私の呼吸は止まりそうになる。
そして、次に感じたのは、彼の唇だった。

それは決して軽いものではなくて。強すぎるわけでもなく、優しすぎるわけでもなく。
ただ、彼の想いがまっすぐに伝わってくる、深くて真剣なキスだった。

唇が離れた瞬間、柊真さんはそっと私の頬を撫で小さく息をつく。
そして、私をじっと見つめながら、ぽつりと呟いた。

「……こんな可愛い彼女に思われてるなんて、幸せすぎて、やっぱ怖い」

低く響くその声に、私は思わず涙をこぼした。

その涙を見て、柊真さんの瞳がわずかに揺れ、微かな笑みが浮かぶ。

彼は私をぐっと抱き寄せ、その腕の中に包み込むようにして囁く。

「俺は今まで、人を本気で信じるのが怖かった。でも、茉莉がそれを変えたんだ」

柊真さんの唇が、そっと私の髪に触れる。
その仕草が優しくて、愛おしくて、もう何も言えなかった。

「茉莉がそばにいてくれるなら、俺はもう何も怖くない」

その言葉に、私は涙を流しながら微笑む。

「私もです、何も怖くない」

その夜、私たちの間にあった距離は完全に消えた。
互いの温もりだけが、確かなものとしてそこに残った。