敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

「あ、おい坂本」

同僚の男性が私に気づき、小声で坂本先輩を呼んだ。

坂本先輩が振り向くと、一瞬だけ気まずそうな表情を浮かべたが、すぐに苦笑いを浮かべて肩をすくめた。

「聞かれちゃったか」

坂本先輩は頭をかきながら続けた。

「あー……でも、この際だし正直なところを言っちゃうけどね。仕事っていうのは結果が全てなんだよ。今日のプレゼン、あれじゃ評価されないよ。次は、もっとしっかり準備していきなね」

表面上は柔らかい口調だったが、その奥に苛立ちと失望が隠れているのが分かった。

「……はい、ありがとうございます」

それだけを絞り出すのが精一杯だった。

「木崎さん、部署でも浮いてるって噂聞くし、もっと頑張った方がいいと思うよ」

横から同僚の男性が追い打ちをかけるように言った。その言葉は、正直、とどめの一撃だった。

「……すみません。気をつけます」

視線を床に落とし、かろうじて答えた。足元がおぼつかない。自分が無力で惨めで仕方なかった。

「じゃあ、お疲れ様」

背を向けて歩き出した二人の後ろ姿から、再び声が漏れた。

「なんか俺らが悪者みたいだな」
「確かに。まぁ、そういうとこなんじゃねーの?評価されてない理由って」

その言葉に、今にも崩れそうな心を抱えながら、私はふらふらと歩き出した。