敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

私は涙を拭いながら、勇気を振り絞る。

「本当にごめんなさい。でも……私、柊真さんのことが知りたかったの。どうしてそんなに苦しそうな顔をするのか、過去に何があったのか……」

柊真さんは足を止めたまま立っていた。
暗くてよく見えない表情が酷く冷たく感じる。

「私、柊真さんの力になりたいんです!」

震える声が、静かな夜道に響いた。

「柊真さんは、私をどん底の人生から救い上げてくれた人だから……っ」

少しだけ光ったその瞳には、戸惑いと、隠しきれない不安が揺れていた。

「好きです、柊真さんのことが、本当に……大好きなんです」

涙がこぼれるまま、まっすぐに彼を見つめた。

柊真さんは、しばらく言葉を失っていた。
夜の静寂の中、ただじっと私を見つめる。

やがて、ふっと小さく息を吐き、わずかに視線を落とした。

「……はぁ」

低く漏れたため息には、苛立ちではなく、どこか優しさと自嘲が混ざっていた。

「俺もだよ」

静かにそう言って、彼は一歩、私に近付いた。