敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

ふらふらと歩き回って辿り着いた近くの公園のベンチに腰を下ろす。

冷たい風が頬を撫で、指先がかじかんでいく。けれど、それ以上に、心の奥に広がる冷たさが堪えた。

——帰らなきゃ。
そう思ってはいるものの、足が動かない。

柊真さんの、あの冷たい目を思い出すたび、家に戻る勇気が消えていく。

「どうしたんだ、こんなところで」

低い声が背後から響いた。驚いて振り返ると、そこに立っていたのは——片桐さんだった。

「……どうしてここに?」

警戒を滲ませた声に、片桐さんはにやりと笑いながら歩み寄ってくる。

「偶然だよ。だけど君を見つけられてよかった」

以前よりも親しげな態度。どこか距離感がおかしい。
嫌な予感がして立ち上がり、彼を避けるように歩く。

「藤堂に捨てられたのか?」

背中に投げかけられた言葉に、足が止まった。

「……どうして、そんなことを」
「見れば分かる」

片桐さんは笑みを浮かべ、私の横に立つ。

「結局、あいつはそういう男なんだよ。心の奥底では、人を信じ切れない。……そんなの、寂しくないか?」

優しげな口調だった。私の傷口に漬け込むような。

でも、乗せられない。片桐さんと関わることがどれだけ柊真さんを傷つけるのかは、昨日の出来事で痛いほど思い知っていた。

何も言わず、再び歩き出そうとする。