敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

「ごめんなさい」

どうにか絞り出した声は、あまりにか細かった。

「でも、柊真さんのことが知りたくて——」
「知りたくて?」

遮るように返された言葉が、突き放すように冷たかった。

「俺の頼みを無視したんだ。それがどういうことかわかる?」

その声には、かつて感じたことのない冷ややかさが宿っていた。

「……俺は、茉莉を信じたかった」

苦しげに吐き出された言葉に、心が強く締めつけられる。過去形の言葉が、何よりも胸をえぐった。

柊真さんは深く息を吐くと、視線をそらした。
その仕草が、彼が私との間に線を引こうとしていることをはっきりと示していた。

「まって、柊真さん……!」
「……もういい。これ以上、何も言うな」

拒絶の色が濃く滲んだ声。
私は必死で言葉を探した。でも、正解の言葉は何も出てこない。

必死に説明すれば、もしかしたらわかってもらえるかもしれない。

——そんな甘い期待は、柊真さんの冷たい表情を見た瞬間に消え去った。

私は、彼の信頼を壊してしまった。
今更後悔をしても遅いのに、私の心は、真っ黒な海に飲み込まれてしまっていた。