敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

それでも、私は、彼がどんな過去を背負っているのか知りたかった。
そして今、その答えに近づく手がかりが、目の前にある。

「片桐には関わるな」

そう忠告してくれた柊真さんのためにも、深入りすべきじゃないことは分かっている。

でも――
「……少しだけなら」

震える指で返信を打ち始める。

「少しだけならお話しします」

送信ボタンを押すべきかどうか、迷いながら画面を見つめた。

でも、話を聞くだけ。何かするわけじゃない。ただ、知りたいだけ。
自分に言い聞かせるように小さく呟く。

画面に「送信済み」の文字が浮かび上がった。

その瞬間、心の中に重い罪悪感が芽生えた。胸の奥が鈍く痛む。

「真実を知りたいだけ……」

そう自分に言い聞かせながら立ち上がる。
でも、その言葉とは裏腹に、罪悪感はじわじわと大きくなっていくのを感じていた。