5のヴァンパイアと哀れな少女

パチンッ、
リツが指を鳴らした瞬間、その子は足の力が抜けて地面に崩れるように倒れた。
「よし、じゃあ屋敷に戻るか。」
リツは女の子をお姫様抱っこして抱えると、颯爽と夜の闇に消えていった。

屋敷に着くと、例の部屋に向かった。リツ達5人兄弟が住んでいる屋敷は何個も部屋があった。用途は一つ。連れてきた獲物の血を吸う場所。部屋にはベッドと白い椅子があり、だいたいベッドに獲物を寝かせ、吸っていた。血を吸った後は、記憶を消し出会った場所に返す。月に一度のルーティーンだ。

「あ、リツ。あれ?その子気を失ってるの?珍しいね、リツにしては。」
「ショウくん!あの人ショウくんの友達?」
「あの人は僕の兄貴だよ、^ ^」
ショウが女の子と一緒に部屋に入るのを見届けてから、俺も部屋に入った。腕の中の彼女はまだ眠っていた。俺はゆっくりとその子をベッドに寝かせ、そばの椅子で少し休むことにした。