忘れられない映画




自分が好きな作品を思い浮かべると、自ずとペンは動く。

例えば雰囲気。
静かな自然の描写も入れて、心情とリンクさせたり。
場所にもこだわりたい。

自分も物語の中にいるような、そんな構図が好き。

それから登場人物。
完璧な人よりも欠点があった方が感情移入できる。

でも映画って現実を忘れて楽しむ空間だし、非日常感も少しだけ欲しい…


「ハハッ」


柊くんの笑い声で、ハッと我に帰る。

隣を向くと柊くんは既にペンを置いていて、くくっとまた笑った。

「あ…ごめん。もう少し、書くから」

待たせているかと思ってそう言うと、彼は首を横に振ってみせた。


「全然いいよ。
いいんだけど………全部声に出てるから」


え、うそ。声に出てた?

自分でも気づいていなくて、私は熱くなった頬を黙って横髪で隠した。


なんか柊くんって、意外とフランク。


そう思いながらチラリと隣を盗み見ると、彼は堪えるようにまだ笑っていた。