高嶺のぼっちはかまわれたい

壁の陰に隠れて、少しでも死角に入るように2人で小さく丸くなって息を殺す。


「いい子だから、そのままな」


そんなジミー先輩の声が耳元で響いて、その耳がカッと熱くなった。


警備の人の足音がすぐそばで止まり、わたしたちの目の前の壁が懐中電灯で照らされた。

もうダメだと思ったけど、その懐中電灯の灯りはわたしたちの足元ギリギリをかわしていき、違う方向へと向いた。


「…変だな。気のせいか」


警備の人のつぶやき声が聞こえ、足音が遠ざかっていった。


「っぶねぇー…」


ジミー先輩は安心してその場で脱力した。

そのおかげで、わたしもジミー先輩から解放される。


い…、今の…。

ジミー先輩に後ろから抱きしめられてたよね…?


【・後ろから抱きしめられたい】


そういえば前に、ドラマの影響で青春ノートにそんなことを書き込んだことがあったけど――。

実際のバッグハグって、こんなにドキドキするものなんだ…!