高嶺のぼっちはかまわれたい

「でも、どうして夜の学校なんかに」

「だって、書いてあったじゃん。青春ノートに」

「え?」

「『夜の学校に忍び込みたい』って」


初めはぽかんとしたけど、ジミー先輩にそう言われて、ずいぶんと前にそんなことを書いたようなことを徐々に思い出してきた。


「なっ…!!やっぱりジミー先輩、わたしの青春ノートを全部見て――」

「シー…!!声がでかいって…!」

「だれかいるのかっ!?」


それほど大きな声ではなかったけど、警備の人の足音しかしない静かな夜の校舎に、わたしの声がわずかに響いたようだ。

警備の人が引き返してきて、足音がどんどんこちらに近づいてくる。


わたしの心臓は、この音が外に漏れてしまうのではないだろうかと思うくらいずっとドキドキしていた。

だけどこれは、警備の人に見つかったらどうしようというドキドキではない。


――なぜなら。

わたしの口を片手で塞いだジミー先輩が、体を密着させるようにわたしを後ろから抱きかかえているからだ。