高嶺のぼっちはかまわれたい

「しかも、通り過ぎるときにふわっといい香りがするんだよな〜」

「目の保養。オレ、マジでこの学校に入ってよかったわ」


口々に発せられるわたしに向けられる言葉には、決して悪口はない。

みんながわたしをまるで神のように崇めている。


なぜなら――。


「マドンナが通るぞ!お前らどけって!」

「男子、その足元のゴミ拾って!マドンナが踏んだらどうするの!」


わたしは学校で“マドンナ”と呼ばれて、周りからは一目置かれる存在になっている。


「凛としてて、佇まいが美しい!」

「オレたちには絶対手の届かない高嶺の花だ」


他には、わたしの名前から“高嶺の花”と呼ばれることも。


“マドンナ”や“高嶺の花”なんてそんなあからさまな呼び名、わたしは恥ずかしい。

…ただ、そんな本音を話せる機会も相手もいないのだ。


「マドンナって座ってるだけで絵になるよね〜」

「高嶺さんがきた瞬間、教室が華やかになるな。さすが高嶺の花」