高嶺のぼっちはかまわれたい

「偏見ですよ。友達も彼氏もゼロです」


わたしはふてくされたようにため息をつく。


「『恐れ多い』とか言われて、周りは遠くからわたしのことを見ているだけで話しかけてもらえないし、わたしもわたしで人見知りのコミュ障なので…」

「へ〜、意外。みんなからうらやましがられるあんたが、実はそんな悩みを抱えていたなんてな」


そう言いながら、わたしの顔を覗き込むジミー先輩の表情はニヤけている。

そういえばさっきからこの人、わたしをからかうみたいに笑っている。


「あの…。わたしのこと、ちょっとバカにしてますよね?」

「なんで?べつにしてないけど?」

「だって、さっきから笑って――」

「ああ、ごめんごめん。そういう意味で笑ってるんじゃなくて、なんかかわいいなって」

「かっ…。か、か、か、…かわいい……!?」


とっさに顔が真っ赤になるのがわかった。


「そう、かわいい。憧れの青春をノートに書きためるとか、ピュアで健気でめっちゃかわいいじゃん」