高嶺のぼっちはかまわれたい

こんな現場を目撃してしまったのなら、警察を呼んだほうがいい。


だけどわたしは、なぜだか体が勝手に動いてしまった。


「そ…そういうの、やめたほうがいいですよ」


はっとしたときには、わたしは彼らの前に立っていた。

…人見知りのコミュ障なのに。


「あ?なんか言ったか――」


とまで言って、振り返った2人は同時に固まった。


「…うわっ、すっげー美人」

「マジで…実物?」


わたしを見てぽかんと口を開ける不良たちの隙を突いて、中学生の男の子は3000円を奪い返すと、そのままわたしを押しのけるようにして逃げていった。


「あ…、気をつけてね」


わたしは足をもつれさせながら走っていく男の子の背中を見届けた。


まあ、この場の状況から助け出せたのはよかったけど。

…って、全然よくない。


「なんだよ、逃げられたじゃねーか!」

「いいんじゃね?代わりに、いい女がきたし」