高嶺のぼっちはかまわれたい

スマホで撮りたい…!


と思った、そのとき――。


「見てっ。あれ、高嶺さんじゃない?」

「ほんとだ!高嶺さんもこういうところくるんだ〜」


後ろから声が聞こえ、どうやら清凛生に気づかれてしまった。


「あたしたちと同じフラペ頼んでる」

「高嶺さんも新作商品とか興味あるのかな?でも、アタシたちみたいにはしゃいで写真撮ったりなんてしないよね〜」

「しないだろうね。高嶺さんは、凛として静かに飲んでそう」


そんなことを言われてしまったら…。

撮りたい気持ちを抑えて、凛として静かに飲むしかなくなる。


そのあと、明後日にある古典の小テストの勉強もして、空が薄暗くなりかけてきたことに気づいて慌ててカフェを出た。


べつに門限があるというわけではない。


わたしの家は母子家庭。

お母さんは看護師で夜勤も多く、今日の夜も仕事で家にはいない。


だから、何時に帰ろうと怒られることはない。