「貸すとか、百奈をモノ扱いすんの、やめろ。」
3人相手にしているっていうのに、全く怯む様子のない鹿助君。むしろ3人相手でも威圧感が凄い。睨む目元から、ピリピリと緊張感が伝わってくる。
このままじゃ本当に殴り合いになっちゃうかも……。
とにかくこの場を乗り切るために、私は大きく息を吸い込んだ。
「助けてーーー!!!おまわりさぁん!!こっちですぅ!!今にも私の鹿助君が殴られそうなんですぅー!!」
「は??!」
「私の彼氏が殴られそうーーーッ!!」
「なっ!ばッ」
ダウンの男の手が離れた瞬間を狙って走り出し、私は鹿助君の手を取って通り沿いの方へと駆けていった。
3人は慌てて、私達とは反対の方へと走っていった。
ありえない、あり得ないあり得ないぃ!!この私が、男相手に上手く話もつけられないなんて……!
「って、鹿助君?!どうしたの?!いつもの鹿助君ならもっと上手くやってるでしょ!?」
「足早っ……て、何逃げてんの!!俺が一発殴ってやろうと思ったのにさあ!」
「はあ??そんな男臭いやり方、鹿助君じゃないじゃん!!」
駅まであと少しの高架沿いまで来たところで、膝に手をつき息を整える。
鹿助君は髪を掻き上げて、さっきよりも汗をかいていた。街頭に照らされる首元が、程よく艶めかしい。
って見惚れてる場合じゃないんだってば!



