「大丈夫だって!ただ一緒に飲むだけだし!」
ピンク頭の男に背中を押されて、抵抗する元気もなくなってきた。同じ大学なんだし、この人たちも本気で私を獲って食おうだなんてきっと思ってないよね。
もうどうにでもなれ。いい焼け酒ができるかもしれない。
「百奈!!」
後ろから私を呼ぶ声が聞こえて、通り沿いのまばゆいライトがその人物を照らしている。
「百奈をどうするつもりだよ?」
「盾狼鹿助?!」
「はあ?彼女ぼっちにさせといて何今さら戻ってきてんだよ!!」
そこには焦った様子の鹿助君がいて、羽織っていたコートを脱ぎ髪を振り乱している。もう寒い季節だというのに、なぜか額には汗をかいてた。
「ねえ、勝手に俺の彼女に触らないでくれる?」
「それは俺の台詞なんですケド!!勝手に俺の女寝取っておきながら何いってんだよ!」
「お前の彼女…?誰だよ?」
「ふざけんなよ!!」
私から鹿助君に興味を移した2人が、鹿助君の方へと歩み寄る。真っ白なダウンの男だけは私の腕を掴んでいた。
「いい加減にしろ。百奈に触るなって。」
「俺の女寝取った代わりだよ、百奈ちゃん貸せよ。」
どうしよう。なんだか、いつもの鹿助君じゃない。いつも上手くやろうと話をつけるために冷静なのに。余裕な表情が、見当たらない。



