ねえ鹿助君、私たち、本当に似た者同士だよね。だからお互いの気持ちが手に取るように分かるはずなのに。
今の私の哀しい気持ち、鹿助君に分かる?
電車の中で咄嗟に助けてくれて、嬉しかったんだよ?葛根湯作りの実習の時も、私から喧嘩売ったようなものなのに助けにきてくれたし。
さっきだって、大食いチャンネルのこと、馬鹿にせず親身になってアドバイスしてくれてさ。
実は経験値高そうにみえて、私ってば単純な女なんだよ?
「百奈ちゃあん、お詫びに百奈ちゃんが慰めてくんない?」
真っ白なダウンの男に肩を掴まれて、条件反射でその手をふりほどく。
「ええ〜?なんで私がそんなこと、」
「鹿助のこと好きなんだろ?ならアイツ殴る代わりにさ、百奈ちゃんそこの店まで付き合ってくんない?」
親指で指した先には、入口で全身革ジャンの男がタバコをふかして立っている店がある。
あそこは有名なクラブだ。クラブとは名ばかりの、個室ルームが常備されているガラの悪いナンパスポット。
さすがに怖い。あの店に連れて行かれるくらいなら、まだホテルの方がマシかもしれない。



