「なにしてんのー?一人?」
「顔ちっちゃいのに唇ぷるんぷるんでかわいいね!」
どんな褒め方よ。“嬉しい”感情が迷子になるんですけど。
路地裏の無機質な電灯が消えかかっている。やっぱり私は、盾狼鹿助を恨まざるを得ない運命にあるみたい。
だから思う存分に名前を出してやるのだ。
「違うよ?さっきまで鹿助君とデートしてたんだあ。」
「え?ろくすけ?ってもしかして、盾狼鹿助??」
「そだよ。」
萌え袖、瞬きのタイミング、ハの字の足元。やだー私ってばカンペキ。こんな人たち相手でも、無意識にかわいさアピール発動させちゃって私ってば罪なオンナ。
「はあ?百奈ちゃん、もしかして盾狼鹿助と付き合ってんの?!」
「付き合ってるのー。」
「はあ??アイツ、俺の彼女寝取ったんですけど!」
「そおなの?」
「マジ殴りたいんですけど。百奈ちゃんだって浮気されて嫌じゃない?」
「百奈、まだ最近鹿助君と付き合ったばっかだから浮気にはなんないもん。」
「はは、でも人の女には平気で手を出すやつだよ?」
現場を見ていない奴にはそうやって取られがちだよね。
でもね、実際は相手の女が鹿助君に言い寄ったんじゃない?勝手にベタベタ触られて、ストーカーされても困るし仕方なく手を出す羽目になったんでしょ?
別に鹿助君の肩を持つわけじゃないけど、私も同じような扱いを受けてきたから分かるよ。



