「……ねえ。マジなのこれ。」
「ふふ。百奈のこと嫌いになったでしょ?」
俺が呆気に取られている隙にも、百奈が会計ボタンをタッチした。
「なにぼーっとしてんの?奢ってくれるんじゃないの?後ろの人待ってるって。」
「あー、うん。」
言われるがままに金を投入。
なにこれ。俺への嫌がらせ?
空いている席を探し、奥の席へと歩いていけば、百奈が後ろから俺にぶつかってきた。
「おっと、…なに?」
『お金、ありがとね。』
後ろから、俺のコートのポケットに手を突っ込んできた百奈。何かを入れられたと思いポケットを探れば、お札らしき感触を感じ取った。
「え?いいって。」
「私があんなに頼むと思わなかったでしょ?私、大食いなんだー。」
「ねえ、ほんとにほんと?てか5品食べるって。ただの大食いの域じゃなくない?」
「まあね〜。」
はあ?俺への嫌がらせじゃないの?てか何いい女のフリしてんの?
後ろにいる男性客に気を使って、俺に金出させるってどう考えてもこんなセルフの店でやることじゃないし。
それで後から俺に金渡して?金に汚い人間じゃないアピール?
ちょっと矛兎百奈という人間が分からなくなってきた。頭痛い。帰ったら葛根湯を呑もう。



